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松山O邸
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プライバシーを守り、人を呼ぶ円形の壁
庭の椰子の木が、コンクリート壁の前にたつ。ここは愛媛県松山の秋のO邸。「リゾートの夏の感じでしょ」と建て主のO・Mさんは、居間のソファーでくつろぐ。その部屋の奥は、家の中心で外部空間でもあるライトコート。青空からの光が、石畳の空間を白く照らす。その中央で、井戸水の噴水がこんこんと沸く。 夫Mさんが松山の病院長を勤めることになり、O夫婦はその地に新居を計画。まず夫Mさんは建築家・横田泰介さんを、当時生活していた神戸六甲のマンションに案内した。「仕切りがなく、視線が抜ける空間の好みを理解してもらった」。そこで横田さんは「内部空間と外部空間が複雑に相互貫入する空間」と提案し、話は進んだ。 ライトコートが軸の円形の家は、室内のどこに2歳の娘が遊んでいても、妻O・Yさんの目に届く。室内は開放的だが、コンクリートの壁はぐるりと家を守る。「私は病院の仕事や学会で家をあけがち。防犯を配慮した」とMさん。そして壁は、マンションが建て込む周囲から家族のプライバシーを守る。「しかし道路面の植栽や珪藻土の壁で、周囲に威圧感を与えない外観に」と横田さん。 吹抜けの居間に「人を呼ぶことが好き」とMさん。病院の職員、友人、親類など大勢で食卓を囲む。キッチンは2人が作業できるスペースをとった。「子ども時代、両親がもてなした人に可愛がられた。自分の子どもも、他人から愛情をもらって育てたい」。 2階の中央は珪藻土の壁の筒とガラス。その外光が子ども部屋のドアに届く。娘の一室の隣は将来生まれる子の部屋に。まだ性別がわからないのでノブは黄色にした。 建築ジャーナル 編集部 |