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松山Y邸
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鉄骨の構造体を表現要素に 厳しさや豊かさを表現
「松山Y邸」は松山市南部の閑静な住宅街の角地に建つ。この計画は,30年前に建てられた木造平屋住宅の一部を取り壊し,2つの個室と玄関,接客スペースを増築するというもの。 まず西側道路と75度の角度で厚い白壁を立てて,玄関までの短いアプローチに深みのある印象を与えながら,細長い増築スペースを南北に二分した。北側のエントランスコートは軒先空間として周辺に開放し,南側は半円形のもう一枚の白壁によって囲んでホールとし閉ざされた静かな世界をつくり出した。 それら内外2つの空間上部に当たる2階部分に前面道路と15度の角度で,片方向ブレース構造によるシルバーメタリックのボックスが浮かぶ。敷地の形状は不整形であるが,建築の明確な幾何学的形態と軸線をずらした計画で,特徴のない街並みに緊張感とダイナミズムを生み出した。 このボックスは,一辺2750mmの立方体5つが連なって構成されている。北側の2つと南側の2つはそれぞれ性格の異なる個室,真ん中はそれらの前室である。敷地周辺を見通すことができる場所であり,ワークスペースとして日常の様々な作業の場として利用されている。 ワークスペースからは小さなデッキがホールの吹抜に突き出しており,ここで2つの空間は連続する。内外部ともに鉄骨が露呈しているボックスは,ホールでその構造体を明らかにする。ここでは,しっくい壁と大理石の床、そして鉄骨の骨格とディテールを表現要素として,空間に厳しさとともに豊かさと多様性を生み出した。 しっくいの白い壁は,四季折々の自然や天候を印象的に映し出し,変化する光の色や濃さが循環する時の流れを語りかけている。 |